リレーコラムVol.4 事業者目線での農業ITの今と私たちがやるべき事

JAISA リレーコラム Vol.4 事業者目線での農業ITの今と私たちがやるべき事

故郷新潟で機器間通信の事業を立ち上げて半年が経ちました。
17年、東京でネットワークやサーバシステムのインフラエンジニアをしておりましたので農業に関しては、全く門外漢の状態でしたが東日本大震災以降、電力を大量に消費するサーバ事業者側に居てITシステムの方向性と日本の食糧問題に思う所があったのが農業分野に関するIT活用に興味を持ったきっかけでした。

農業ITといった分野では、スマートフォンによる圃場管理やセンサによる環境制御など現時点でハード・ソフト含め様々な製品が市場に流通している中、弊社は機器間通信の技術を応用した温室管理の製品を提供しておりますので農業ITビジネスの事業者側として感じている事を当コラムの主旨とさせていただきます。

10月開催のアグリネクストでは、メーカー・ベンチャー企業問わず同種の製品が多種展示され生産者の方もコスト・用途に合わせて選択肢が広がり、導入環境が整ったと感じる一方で弊社含め現時点では供給側の売り文句が(図らずも)先行しており「この製品を導入すると○○%の収量増加につながる」といった定量的な評価軸に基づいたご提案ができていない点をもどかしく感じています。
生産者の方も厳しい情勢の中、決して少なく無い初期投資をされる以上は確実な費用対効果を望まれるのは当然の事であり、センサ活用においては単なる圃場環境の可視化に留まらない更なる活用術を我々は求められているのを感じます。
農業ITにおけるセンサ活用では、今後取得データのマイニングにより収量予測といった生産者へのレコメンド機能などを付加し、より実効的ニーズに応えられる製品開発が求められているのが現状かと思います。

また、いまや企業活動では定番となっているPDCAサイクルを厳密に農業の現場に適用するのは、一見合理的なようにも思えますが、だからといって現場で長年培われてきた作業工程をITシステムに沿う形でPDCAに落とし込むのはかならずしも農業現場のローカル視点では最良とは限らないのではと個人的には思っています。
結局、生産者の方が「使わされている」と感じるようなモノ作りでは、農業ITの普及は無いと考えます。
我々技術者の陥りがちな自己満足的システムにならないよう、ユーザ視点に立ったモノ作りは農業ITにおいては特に重要な点だと考えます。

我々ベンチャー企業としては全てのニーズを充足する製品を作るのは不可能としても多機能化とは逆のコンセプトを絞り特定ニーズを満たす製品で、いかに生産者の目的に合致した「現場で使えるシンプルな製品」をご提供できるかがビジネス持続の鍵になると考えております。

生産者視点に立った「使える製品」をご提供し、ビジネスとして参入する以上は確実に収益を生み出す事が今私たち事業者に問われている課題であると同時にアイデア製品を生むモチベーションでもあります。

文責:センシニクス合同会社 代表社員 村澤徹