先月末に開催されたスマートアグリ・シンポジウム 2016にて、売上向上のためのIT利用というテーマでお話しさせていただきました。
講演後にとある聴衆の方から「現場の状況に即した内容で一番良かったです」というお声をいただき、非常にうれしかったです。

シンポジウムでの講演内容について振り返ってみたいと思います。

農業はイノベーションが起こりにくい

次のような理由により、農業はイノベーションが起こりにくい事業環境だと感じています。

・生産サイクルが多くの作物で1年。PDCAサイクルを短期間で回しにくい。
→高度な植物になるほど従来の品種改良手段では難しい。遺伝子組み換えへの拒否反応。

・生育環境をコントロールしやすい施設園芸はほんの一部。天候や地形が変わりやすい露地栽培が大半を占める。
→機械化を進めるうえでは、様々な地形/天候/作物に対応したパターンを考える必要がある。

・規制や団体、個人事業主が多く、他産業では当たり前のことができにくい。
→当たり前のことが当たり前にできるようになるだけでもイノベーション

バリューチェーン全体で価値を出す

一般的な農林水産業のバリューチェンは、生産→収穫→加工/製造→流通→販売とし、生産・収穫を一次産業、加工/製造を二次産業、流通・販売を三次産業として扱い、第一次産業者の経営多角化として川下の付加価値を取りこもうとするのが六次化です。

ただ、六次化は正直あまりうまくいきません。一次産業に比べると、二次産業・三次産業には、対消費者であるサービスからさかのぼっていく「マーケット・イン」の取り組みが必要となりますが、消費者との接点が少ない状況では難しいからです。

そこで、弊社としては基本的には三次産業を流通/販売という業種だけではなく、サービス業全般を対象にし、異業種と「連携」して付加価値を「共創/協創」する。
商品販売や飲食のみでは付加価値は限られるし、競合も多いので、ものを売ることから、体験を売ることへシフトするのが良いのではないかと考えています。

売上向上のためのIT利用

農業での所得(利益)向上のためには、ITによる費用削減には限度があり進みにくいと感じています。まずは、売上向上のためにITをうまく活用していく必要があるのではないでしょうか。
例えば、

  • 販売チャネルとしてECを活用する
  • 生産物や活動などの情報発信の場所としてSNS等を利用する
  • 農産物の品質向上のために作業記録やセンサー等のサービスを利用する

ITの機器やサービスはあくまでも道具ですので、どのように活用するかは日々考え、使い方も改善する必要があります。
まずは身近で簡単なところからIT利用を始めてみませんか。

文責:さつまいもカンパニー合同会社 橋本亜友樹