全国で毎年のように発生する異常気象は農業に大きな影響を与え、これまで通りに生産をしていくことが困難になりつつあります。
また、日本の農業においては、農業従事者の減少と高齢化が進み、新たな担い手の育成と篤農家のノウハウの継承が課題だと言われています。

20世紀に農業は機械化を進めることでその生産性を高めてきました。
同様に、今度はITを一つの道具として使っていただくことで、生産性を高め、こうした問題を少しでも緩和していくことができるのではないかと考えています。

農業生産においてITができること


農業生産の現場でITの果たす役割として、計測・記録・判断・制御の4つが挙げられます。

環境や作業を計測・記録してデータ化することは、これまで感覚で行われてきた作業(暗黙知)を見える化(形式知化)することができます。
データ化することで初めて比較することができるようになり、何がよくて何が悪いのか分析できるようになります。

また、データ化することは技術を共有することにも役立ちます。

また、こうしたデータをもとに判断・制御を行うことで、自動的に圃場の環境を最適化し、生産性を高めることができます。

また、これまで人が行ってきたことを機械に任せることができるようになるので、労力を軽減し、より少ない人数で生産をしていくことができるようになります。

日本の農業に適した農業ITのかたち

農業にITを導入して生産性を高めた事例としてよく取り上げられるのがオランダです。
オランダは、国土が九州ほどの面積ですが、一方で世界で2番目の農業輸出国となっています。

オランダが農業の高い生産性を実現している理由はいくつかありますが、その一つにITの活用が挙げられます。
オランダでは、ITを駆使して様々なデータを収集し、そのデータを生産者グループや大学、農業コンサルタントに共有することで栽培技術を高めてきました。
また、ITによって自動化を進め、少ない労力で高い生産を実現しています。

こうしたオランダのようなシステムをそのまま利用できれば日本でも生産性を高めることができるかもしれませんが、そこにはいくつかの課題があります。
まず、コストの問題が挙げられます。オランダで利用されているシステムは前述した計測・記録・判断・制御全てを実現していますが、そのためにどうしてもシステム全体が高くなってしまいます。

また、多機能になればなるほど、使いこなすのは難しくなっていきます。その結果、導入するための教育コストも非常に高くなります。日本は農業法人が増えてきてはいますが、それでも家族経営による農業生産が主流となっています。

こうした中でコストの高いシステムの導入は現実的ではありません。
また、オランダのシステムはオランダ型の施設でないと利用できないというのも問題になります。

日本にはすでにたくさんの施設があります。
システムに合わせて施設を建て替えるというのは現実的ではありません。すでに存在している施設に後付けで導入できるものが必要なのです。

こうしたことから、日本の農業に導入できるITシステムは、低コスト・誰でも簡単に利用できる・既存の施設に後付けできるという条件を備えたものでないといけないと考えることができます。

そこで、当社ではまずは低価格で導入できる環境モニタリングシステムの提供を行うことにしました。

環境モニタリングのメリット

当社が提供している環境モニタリングサービス(https://midori-cloud.net/)は、全国46都道府県で約1,200箇所に導入されています(2018年2月末時点)。

環境モニタリングでできることは圃場環境を計測し、見える化するだけですが、これまでに様々な効果が得られています。

・遠隔から圃場環境を確認
これまで圃場に行かないと分からなかった圃場環境が、手元で確認することができるようになります。
これにより圃場の見回りにかかっていた労力を削減することができます。
また、これまでは把握できていなかった圃場環境の変化が見えるようになり、これまで以上に栽培に適した環境を作り出すことができるようになります。

・収量の拡大
篤農家の方は、それぞれの圃場や作物、作型によって最適な環境を熟知されています。
環境モニタリングを利用することによって、その最適な環境と実際の環境のギャップを見える化することができるようになりました。
そのギャップをできるだけ小さくするように栽培環境をコントロールされたことによって、20%の収量拡大を実現できた事例が出てきています。

・病気の発生を抑制
栽培に適した環境は、作物にとっても適した環境となります。
環境モニタリングによって環境制御の精度を向上させることで、作物が持つ本来の抵抗力を高めることができ、病気の発病を抑制することができます。
病気を抑制することで農薬の使用回数を抑え、経費の節減や減農薬栽培の実現につなげることができます。

・損失の回避
環境モニタリングをすることで、異常な環境を早期に検知することができます。
早期に検知し、リカバリすることで、損害を最小限にとどめ、安定した農業経営を実現することができるようになります。
当社のサービスの利用者では、こうした機能により3,000万円の損失を防いだ方もいらっしゃいます。

今すぐデータ化に取り組みましょう

計測や記録によって蓄積されたデータを、見える化するだけでも様々な効果を得ることができます。
しかしながら、情報技術は日々進化をしており、機械学習・AIなどのツールによってこれまで想像もできなかったデータの活用がこれから実現されていきます。
こうしたツールを活用する際には、どれだけのデータを蓄積しているかが、その効果の大きさを決めることになります。

つまり、このような新たなIT技術でメリットを享受するためには、より多くのデータを収集・蓄積することが必要なのです。
データは収集して記録しない限りは消えていきます。ITを使って農業でより大きな成功を収めるために、今すぐ計測・記録を始めることをおすすめします。

株式会社セラク みどりクラウド事業部 持田宏平